VICSの新サービスとしてこの春からスタートしたVICS WIDE。
その効果と実用性をチェックするために、実際にVICS WIDE対応のカーナビを搭載したクルマでドライブを体感してみました。
ちなみにVICS WIDEのサービスはFM多重放送を使って提供されるので、対応するカーナビさえあれば気軽に利用可能です。
筆者:工藤貴宏(モータージャーナリスト)
渋滞表示の量と質が高まりました。しかしそれだけじゃない、従来のVICSと決定的に違うのは、いまのルートよりももっとスムーズに走れる道が見つかればFM-VICSで自動的に更新してそっちへ誘導するようになったことですよね。今までのFM-VICSでは、カーナビがキャッチした渋滞情報を反映してルートを変更するまでは踏み込んでいなかったので、渋滞があるとわかっていてもあらかじめ決めたルートを誘導していました。しかしVICS WIDEなら渋滞を避け、所要時間の短い道を誘導してくれるカーナビに進化。これは凄いことです。
さっそく試乗してみました。試したシチュエーションはみるみる交通状況が変化する夕方の都心周辺。
VICS WIDEの特徴は、すぐに感じ取れました。走っていると「最新の交通状況によりルートを変更しました」というアナウンスとともに次々と“所要時間が短い”新しいルートへと案内を切り替えてくれるのです。
なによりうれしいのは、もっともストレスのない道を自動的に選んでくれるようになったこと。リアルタイムに詳細な交通情報をキャッチし、自動的にそれを反映したルートへ切り替えて最適な道を案内してくれるんです。
VICS WIDEの素晴らしさはそこに尽きます。たとえば事故などでクルマが進まない場所を把握して迂回したり、交差点ではレーンごとの流れまで把握するから時間のかかる右折レーンを避けるなど、道案内の賢さはグッとアップ。最新の詳細な交通情報を反映することで目的地までの所要時間を短くして、ドライブをスムーズにしてくれるってわけです。効果は抜群で、僕の普段通らないような、だけど混雑していない道をきっちり案内してくれました。賢いですね。
複数のルートで区間ごとの所要時間の情報が随時カーナビに送られ、走行中でもそれを反映した精度の高いルート探索をおこなうことができます。そしてもっとも短い時間で移動できるルートを案内してくれるというわけです。
従来のVICSは、車両感知器が未設置の区間では交通情報を把握することができませんでした。しかしVICS WIDEは走行車両(タクシー)の走行データをリアルタイムで反映することで検知器のない道でも交通情報を把握。交差点では「直進」「左折」「右折」といった動きに応じた所要時間も提供します。それをルート探索に活かすことでよりきめ細かなルート案内ができるようになったのです。
VICS WIDEの進化ポイントは、より精度の高いルートを案内できることだけではありません。
緊急情報や大雨のエリアをカーナビ画面に表示することで、ドライブの安心・安全を高めます。
緊急情報を受信すると画面上にホップアップ表示。「情報」をタッチすることでウインドウが開き、「警報区域」などより詳細な情報を確認できる。
大津波、そして火山噴火、気象の特別警報を教えてくれます。従来のVICSは大津波の特別警報をホップアップで表示していました。VICS WIDEでは大津波警報に加えて、気象と火山噴火などの特別警報をホップアップで表示。より素早く緊急情報をキャッチできるのです。
見逃すことがないので安心ですね。
地図に重ねて50mm/h以上の降雨地域を表示。250m四方をひとつのブロックとしているので、かなりピンポイントで大雨を確認できる。
ゲリラ豪雨とも呼ばれる局地的大雨が道路交通にも大きな影響を与えることがあります。そこでVICS WIDEでは、ドライバーの視認性を低下させる50mm/h以上の大雨をカーナビ画面上に直感的に分かるようにエリア表示。ドライバーに注意を与えて雨が降っているエリアを表示することで、安全な移動をサポートしてくれます。
これなら冠水した道路に出くわす確率も少なくなりますね。
新しいサービスであるVICS WIDEは、従来のVICS同様に気軽に使うことができます。使用料はカーナビの価格に含まれているので追加費用は発生しません。ただ、新しいシステムなので従来のVICSカーナビそのままでは利用できません。VICS WIDE対応カーナビを車両に取り付ければ使うことができます。市販カーナビでも対応機種が続々販売されています。
VICS WIDE対応カーナビメーカー一覧
カーナビで渋滞を知ることができるVICSは、VICS WIDEへと進化したことでさらに便利になり利用価値が高まりましたね。
実際に使ってみると、これまで以上に詳細な渋滞の把握とそれを生かしたルート案内が
どれだけスムーズな移動の助けになるかを実感できました。もう、これを使わない手はありません!
自動車雑誌編集部を経て独立し、自動車雑誌やウェブを中心に新車やカーグッズの記事を執筆するモータージャーナリスト。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。カーナビゲーションはメディアが「CD-ROM」だった時代から使い続け、その進化をチェックしている。