最先端IT・エレクトロニクス総合展として2000年に始まり、すっかりおなじみとなったイベントが、今年も千葉県・幕張メッセにて開催されました。2014年10月7日~10月11日の会期で開かれた【 CEATEC JAPAN 2014 】は、アジア最大級のIT・エレクトロニクス展といえるもので、来場者も前年より増えますます多くの注目を集めている展示会です。
そのCEATEC JAPAN、今年のテーマは『NEXT-夢を生みだし、未来を描け』となっています。まさしくテーマ通り、会場中で、近い将来に実現可能なものから、遠い未来を見据えたテクノロジーまで、幅広い技術をアピールしていました。
パナソニックやシャープ、東芝といった電機メーカーが高画質を追求した次世代型テレビの「4K」「8K」を展示する他、トヨタ、ホンダといった自動車メーカーは次世代自動車として注目されている水素で発電して走る燃料電池車や関連技術を展示。また、マツダが自動運転の開発車両をお披露目したほか、先進安全技術につながるセンサー類も多く見かけるなど興味深いものでした。
そして、自動車に関する先進技術といえば、見逃せないのがカーナビゲーション関連のテクノロジーです。CEATEC JAPAN 2014 の開幕直前となる10月3日には国土交通省から、「ITSスポットサービス」を『ETC2.0サービス』へと呼び名を変えると発表があると共に、サービスの拡充を宣言しました。
つまり、『ETC2.0』に対応したカーナビゲーションの進化が求められるというわけです。
そして、電波ビーコンの技術的なポイントとなるDSRC(Dedicated Short Range Communication:スポット通信)や光ビーコンに対応した、最新のカーナビゲーションは、VICSブースに集結、「JEITA」ブースでも紹介されていました。
VICSブースでは、「現行VICS紹介コーナー」、「次世代VICS紹介コーナー」があり、今年は特に主要メーカーのVICS搭載カーナビと対応車載機が「現行VICS紹介コーナー」で展示されていました。
【現行VICS紹介コーナー】
本年発売したT-connectナビ9インチ、7インチサイズの販売店装着オプションナビゲーションを展示していました。
Apps(アップス)と呼ばれる専用アプリサービスにより、ナビゲーションの楽しみ方をアップデートできるのが特徴ですが、もちろん地図データも常に最新版に更新されます(3年間無料)。
もちろん、この最新ナビゲーションにはETC2.0サービスに対応したDSRCユニットをつなぐこともできます。しかも、ETC2.0のサービスインにより利便性を多くのユーザーに味わってほしいと、ユニットの価格を従来よりも安価な設定となっているのは嬉しいところ。
単にルート案内を行なうシステムとしてではなく、最新情報を手に入れる車載端末として、またエンターテイメントツールとしてトヨタの純正ナビゲーションは進化しているのです。
DSRCを利用したETC2.0では広域にわたる道路情報を手に入れることが可能になります。そうした情報を最大限に利用して、時短ルート案内を目指しているのがパナソニックの最新モデル「ストラーダRX01」と「ストラーダRS01」です。
情報をくまなく入手しようという姿勢は、DSRCユニットの構成にも表れています。通常、光ビーコンとDSRCのアンテナは別々となっていることが多いのですが、パナソニックでは一体型としているのです。
つまり、高速道路上でのETC2.0の情報に加えて一般道における光ビーコン情報も受信するというわけです。また、一体型とすることで車両へのインストールも配線がシンプルになるといったメリットが出てくるといいます。
さて、時短ルート案内のポイントはETC2.0情報の受信だけではありません。情報が増えたこと、広域情報まで手に入ることを前提に、ルート案内のアルゴリズムから見直したことで、時短ルート案内のパフォーマンスを上げたことも、ニューモデルの特徴です。
さらに、ハイスペック・プレミアムモデルとして位置づけられている「ストラーダRX01」は、業界初のブルーレイディスク再生機能に対応したカーナビゲーションなのです。
もともと車載モニターサイズ(ストラーダRX01は7インチワイド)ではブルーレイディスクの情報量や再現性のメリットは少ないといわれていましたが、家庭用の録画メディアとしてブルーレイディスクが普及したことに合わせて、ホームとカーAVのシームレスな関係を築くため必要な対応といいます。実際、ブルーレイディスクの再生デモも行なわれていましたが、そのクリアな映像は価値ありと感じている入場者も多いようでした。
carrozzeria(カロッツェリア)ブランドでおなじみパイオニアがVICSブースに展示していたのは、市販ハイエンドモデルとなる「AVIC-ZH0099S」。カロッツェリアのハイエンド・ナビブランド「サイバーナビ」の最新モデルです。
サイバーナビといえば、フロントガラスに設置したカメラにより車線のふらつき防止をサポートする機能や、AR(拡張現実)技術を利用したARスカウターモードなど、常に革新的な機能を載せていることでも知られています。
そのカメラを利用したテレマティクスサービスとしてはリアルタイムに道路状況を撮影、その画像をサイバーナビ・ユーザーで共有することで、これから走る道路のリアルな状況を事前に画像で確認できる「スマートループ アイ」機能も用意しているほどです。
これだけ先進的なナビゲーションですから、もちろんETC2.0についても、旧名ITSスポットサービスとして始まった2009年から対応しています。このサービスは交通情報だけでなく、高速道路のサービスエリアや道の駅などに設置された、情報接続用の受信エリア内では、施設情報や付近の観光情報などを閲覧できます。
デンソーが出展していたのは、アンテナとDSRC本体のプロトタイプでした。
あくまでもナビゲーションのオプション品という位置づけで開発されているDSRCユニットですが、注目はそのサイズ。従来の単機能なETCユニットと見まがうばかりのコンパクトさなのです。
また価格的にも、従来の2メディアVICSユニット+DSRCユニットに比べると、かなりコストパフォーマンスに優れる設定を目指しているといいます。
こうしたメーカーの尽力は、そのままユーザーメリットにつながります。ETC2.0サービスは、思いのほかリーズナブルに活用できそうです。
VICSブースでは、昨年に引き続き、リアプロジェクションを利用した映像ジオラマを展示しました。
中でも次世代VICSとして研究中の「災害」を避けたルート案内では突発的な大雨による浸水をリアルタイムに検知してリルートをしてみせます。また花火によるイレギュラーな渋滞を避けた「イベント」対応のVICS情報も、このジオラマを使ってアピールしました。
【次世代VICS紹介コーナー】
VICSの新サービスについては、プローブ情報を活用した新渋滞情報の提供や豪雨情報の多角形表示機能をフラッシュコンテンツと展示パネルでその概要を紹介していました。
VICSブースの向かいに出展したJEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)ブースでも、ETC2.0は大々的にアピールされていました。
また、各社のDSRCユニットなどハードウェアを展示。もちろん光ビーコンなどVICSメディアに対応しているのは言うまでもありません。
クラリオンのナビはGoogleと協力して開発した音声対話システム『Intelligent VOICE』により、音声で様々な操作が可能。その2014年最新モデルがずらりと並び、それぞれ音声対話システムを体験できるように展示されていました。
「人気のラーメン屋」、「そこに行く」といった自然な対話形式で、目的地を検索・設定できるクラリオンの最新モデル。ドライブの楽しみと利便性といった面でもカーナビゲーションは大きな進化を遂げているのです。